
これはパリではなく、ブルターニュでのお話。
パリの西にあるブルターニュ地方は
パリからTGVで3時間ほどで行けるところにあります。
週末などによく出かけました。
レンヌ、カンペール...。
ギャレット(そば粉のクレープ)にシードル、
牡蠣も美味です。
とくに印象に残っているのは
ほんとうに美しい島、ベルイルや
ゴーギャンゆかりの地、ポンタヴァンです。
そう、ポンタヴァンと言えば、
親友3人でブルターニュの民族衣装にかかせない
コワフというレースでできた筒状の帽子?を
いまでも日常に被っているひとがいるという情報をたよりに
(一体どこからその情報を仕入れたの不明)
あてもなく探してみることに....。
日本を旅行する外国の方たちが
日本髪を結っている女性を探すのと同じ?
(京都で舞妓さんに会える確率のほうが高いかも...)
ほんのわずかな商店が立ち並ぶ通りにあるカフェで
待ち伏せをしても、住人らしき人が歩いている姿を
見かけることがありません。
この村にはシエスタの習慣があるのかしら?
と思うほどシーンと静まり返っています。
聞こえるのは数人の観光客の声だけです。
住宅地の裏通りへ歩きながら友人が
「マダムコワフなんてもういないんじゃない?」
とつぶやくとその背後から
「Si,si! C'est moi,Madame coiffe...。」
(はいはい、私がマダムコワフよ。)
と小さい可愛らしいおばあちゃんが
手入れの行き届いたお庭から出てきました。
まるでおとぎ話から抜け出たような服装。
黒いコットンのギャザーワンピースに
真っ白なレースのエプロン、そして頭には...
あれ?コワフはありません。
でも黒いビロードような丸い筒状のものを
頭に乗せてよく見るとリボンがついていて
それをあごのところで結んでいます。
マダムは、
「ちょっとまってて、いま付けてくるわ。」
とお部屋でコワフをつけて戻ってきました。
見るとそのすばらしいレースの飾りは長く
50センチほどありました。
とても素敵なコワフに思わず私たちは拍手。
「家事をしているときは邪魔だからしないけど、
いつでもできるようにこれは着けているのよ。」
とそのリボンのついた土台?を指しました。
「ほら、写真は撮らなくていいの?」
とすっかりカメラのことも忘れていた私たちに
サービス満点のポーズをとってくれました。
カメラにフィルムが入っていなかったのを
気付いたのはホテルに戻ってからでした。
本当に残念!
日本でいうと宇野千代さんのような
そのお茶目な瞳のマダムコワフを思い出すと
なんだか胸にジーンときます。
その国の伝統を守りながら、慎ましく
生きている女性を尊敬せずにはいられません。
見習わなくてはいけませんね...。
つくづく日頃の反省をしてしまいました...。